間接部門は、企業運営や営業活動を支える基盤であることは言うまでもありませんが、企業に求められることや働き方が刻々と変化する現代において、間接部門に求められる役割も変化するタイミングを迎えていると言えます。
事務処理や手続きという観点で言えばこれまでは、「依頼された業務を正確に処理すること」や「業務を迅速に遂行すること」などが求められていました。ですが近年では、DX化推進の流れもあり定型的な業務はシステム化やBPOなどで削減される傾向にあり、間接部門における業務の価値は、対応の正確性やスピード感ではなくなりつつあります。
では、これから間接部門はどのようにその役割を見出し、価値貢献していけばよいのでしょうか。
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これからの間接部門には直接部門業務への理解が不可欠
判断を伴わない単純作業はシステム化や自動化、アウトソースにより減っていき、イレギュラー対応やよりレベルの高い顧客対応などが間接部門の中心業務になります。これらの業務で間接部門に求められるのは、より柔軟な判断力と全社視点での業務品質の向上です。しかし、そのためには会社の方針に加え業務の関係者となる社内の営業部門など直接部門業務への理解が不可欠です。
例えば、お問い合わせ対応であればマニュアル通りの対応をするのではなく、商品やサービスをしっかりと理解したうえでお客様のニーズに合わせて補足情報を加えることで受注率や継続率に寄与することができます。また、社内手続きのイレギュラー対応であれば、直接部門の状況を理解しておくことでルールに基づき突き返すのではなく、背景を想像してやりたいことを実現できる方法を提案することも可能となります。
このように、間接部門の直接部門業務への理解は不可欠で、間接部門の働きが直接部門の業務にプラスの効果を与えるものとしてより大きな価値を創出することにつながっていくのです。
直接部門業務の理解と相互認識の実態
では実際に、間接部門では直接部門業務をどれほど理解できているのでしょうか。当社が過去に提供していたバックオフィス診断というアンケート形式の間接部門の診断サービスでは「直接部門業務の理解」というカテゴリを設けており、その中での実際の質問とアンケート結果は下記の通りです。
「直接部門が間接部門に期待していることを理解できていると思う(図1)」「直接部門の目標に沿った業務設計ができていると思う(図2)」という質問に対し「非常にそう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合はどちらも40%以下となっております。決められた業務上では問題なく対応できているものの、なかなか部署全体として期待することや目標を意識して業務に取り組むことについてはやりきれていないということがわかります。また、「わからない」という回答が20%前後と比較的大きな割合を占めている点から、そもそも意識を向けたことがない人も一定数いるのが実情といえます。
これらの状況から業務の対応に関しても直接部門と間接部門で認識の齟齬が生まれていることがわかるのが下記の結果です。
これは間接部門の休暇などによる対応への影響に関する質問の結果で、図3では直接部門社員からの評価、図4は間接部門社員の認識です。直接部門では間接部門の休暇により止まる処理があると半数近くの社員が感じているのに対し、間接部門では同様の認識を持っている割合が10.2%にとどまっています。
こういった認識齟齬が生まれるのも直接部門業務への理解が浸透しきれていないことが要因のひとつと考えられます。
自社の間接部門だからこそできる価値を提供する
冒頭でもお伝えした通り、間接部門は企業運営や営業活動を支える基盤であることが大前提であり、その中で全ての要望を受け入れることや背景を理解するのは難しいことです。
ですが、直接部門業務の理解をより深めることは今後ますます進んでいくシステム化などでは補填できない自社の間接部門だからこそできる価値提供につながりますので、お互いの業務理解を深める意識を是非、日ごろのコミュニケーションから持ってみてはいかがでしょうか。
下記の資料では、本コラムでお伝えした直接部門との壁を含む間接部門(バックオフィス部門・管理部門)が抱えやすい課題とその解決ポイントについてより詳しく解説しています。間接部門の業務価値向上に向け、是非併せてご覧ください。