私たちがバックオフィスのコンサルティングで大切にしている考え方のひとつが「Once Only」です。
この考えは「一度情報を入力すればデータが連携し、すべてのサービスを使えるようにすること」と「情報を入力する手間を省きデータを一元管理すること」を意味しています。
みなさまの現場では、次のようなことが起こっていないでしょうか?
・同じ情報を別のシステムに入力している(二重入力)
・入力したデータが連携しておらず、手作業で集計している
・最新のデータをリアルタイムに見ることができない
本来、情報を一度入力するだけですべてのシステム間でデータが連携され、欲しい情報やサービスが適切なタイミングで提供される状態が理想的です。
しかし、それが実現できている企業様は多くありません。
システム設計で必要な視点
システムを導入しても実は「システムからシステムへの入力作業」や「Excelからシステムへの転記作業」が発生してしまうことがあります。その理由は「全体最適の視点でシステムが設計されていないから」です。
システムには販売管理、勤怠管理、会計管理、工数管理などがありますが、それぞれが担うのは業務の一部分に過ぎません。このように得意領域が様々なシステムが多くある中で、全体を俯瞰してシステムを設計してくれる会社は多くないのが実情です。
そのため「全体最適」の視点で現状の業務を整理して、あるべき姿を考えてくれるパートナーを見つけることが非常に重要です。全体最適の視点で業務の見直しができないと、「Once Only」の実現はできません。
システム導入やそれに伴う業務改善を検討する場合には、「全体最適視点」と「Once Only」を意識することが重要です。(参考:社内DXで叶える従業員幸福度)
IT先進国エストニアに学ぶ「Once Only」
この「Once Only」というコンセプトは、IT先進国のエストニアで重視されているポリシーのひとつです。
エストニアの電子政府は「e-Estonia」と呼ばれ、1700もの行政サービスをポータルサイト上においてワンストップで提供しています。また、国のサービスの99%がオンラインで提供されています。
このように、国全体で積極的にITを活用しているエストニアでは、「e-Estonia」のシステムを構築する上で大事にしている「3つの原則」があります。
システム構築の3つの原則
IT先進国のエストニアが実際にシステム構築する上で大事にしている「3つの原則」は下記の通りです。
1.once only(一度だけ)
・一度入力すれば、すべてのサービスでそのデータを使えるようにすること。
・入力の手間を省き一元管理をすること。
2.no legacy(時代遅れにしない)
・最低13カ月以内にアップデートするルールを設け、常に最新の状態にしておくこと。
3.digital by default(デジタル前提)
・どうやってオンラインで完結させるか、という発想を持つこと。
この3つの原則はどれも大事なことですが、特に「Once Only」によって二重入力を行わないことは生産性にも大きく影響するので、とても重要な考え方です。
バックオフィスの業務改革やシステム構築の際には、「Once Only」をはじめとするこれらの3原則をぜひ意識してみてください。
バックオフィスのDX化におけるシステム導入の際は、DX化の陥りやすい落とし穴に陥らないために、現状の可視化・見直しを徹底的に行い、効果的なDX化を目指しましょう。
下記資料ではバックオフィスのDX化に際して注意が必要なことについてご紹介しております。ぜひ、ご活用ください。