企業の利益向上の手段のひとつとして、間接部門の業務改善による生産性向上が挙げられます。
間接部門の業務改善は必要性が高く、重要性も高いものの、実際には下記のような理由で進められない企業も多いのではないでしょうか。
・推進する人がいないため、業務改善をスタートできない
・「目の前の業務が忙しい」という理由で活動時間が確保できない
・現場の協力が得られず、業務改善を進められない
これらのような「よくある理由」からも、業務改善を進めるためには「現場社員を巻き込むことが欠かせない」ということがわかります。
社員を巻き込むためには、まずはその活動の目的を理解してもらい、そのうえでどのように進めていくかを示すことが重要です。本コラムでは、その取り組みの事例をご紹介いたします。
現場を巻き込む業務改善の流れ
今回事例としてご紹介する企業では、属人化が進んでおり同じ業務であっても人によって業務の呼び方が違ったり、業務改善の意識が低かったりするという状況でした。
業務の棚卸を行うことで、現場メンバー間で業務の認識及び呼び方の統一化をはじめとした、社員の業務改善への意識の醸成、抵抗感の払拭を目的に、ワークを用いた研修によって現場社員の巻き込みを実施しました。
まずは講義で、間接部門の役割や目指す姿など、自分たちの立ち位置や求められていることを共通認識としてすり合わせた後、目指す姿と現状とのギャップを埋めていく方法のひとつとして業務改善があることを理解していただきました。
業務改善が必要となる背景や理由がわかっても、具体的に何をどうすればよいかわからなければ行動には進めません。次のワークでは、業務改善の起点となる業務可視化の三要素
・業務棚卸
・業務フロー図
・工数管理
についてグループに分かれて学び、その作成方法を習得しました。
実際に可視化を進める中で気づいた点を各グループ内で共有し合うことで、多角的な視点から現行業務を見直すことができ、その業務の課題点(=業務改善のヒント)の発見につながりました。(参考:バックオフィス部門での可視化に必要な3点セット)
業務改善に向けた意識醸成のカギ
一方的な講義だけではなく、実際にワークを取り入れた研修を実施することにより、「業務改善は必要だとは思っていたので、何から始めればよいか知れてよかった」、「他部署と業務の重複があることを知った(=改善点を見つけることができた)」などの声が挙がりました。
目的・手段を知り、具体的にやるべきこととやり方が明確化されたため、業務改善に向けて社員一人ひとりが動きやすくなったのではないかと思います。
このように、業務改善をスタートする際に、研修を実施することも社員を巻き込む手法のひとつです。その際のポイントは下記2点です。
1. 会社視点と現場視点で伝える
業務改善をする目的や業務改善を行うことによって現場社員の方にどのようなメリットがあるのかを共通言語を使って社員目線で伝えることで、自分事としてとらえてもらいやすくなります。
2. やることを明確に示す
業務改善に必要な日常業務の洗い出し方や、どこに無駄があるのか、どの業務を改善できそうなのかといった改善点を見つける視点を意識してもらうことで、行動しやすくなります。
業務改善の必要性を理解した上で、業務可視化を実践しながら学習すると、日頃から業務の改善点を考えられるような意識を醸成するきっかけになります。
間接部門の業務改善をきっかけに
業務改善を行うには、現場社員の方の協力は必要不可欠です。今回の事例では研修をきっかけに、まずは業務改善に対して「できそう」というイメージを現場社員の方に持っていただくことができました。
さらに、研修を行うだけで終わりにするのではなく、その中で出た意見や課題をベースに、改善点の整理と改善優先度、方法などを確定させ、実行に移すという次のステップに進めていくことが重要です。そうすることで、自然と「現場を巻き込みながら進める業務改善」を実現することが可能となります。
下記資料では、今回ご紹介した研修のより詳しい内容をご紹介しています。具体的なプログラムや現場の巻き込み方のポイント等をご覧いただけますので、自社の業務可視化・業務改善を一歩でも進めるために、ご活用くださいませ。