「デザイン思考」とは、デザイナーが製品やサービスをデザインする際のプロセスを問題解決やイノベーション創出に応用した思考手法です。ユーザー(顧客)のニーズに焦点を当てる特徴的なアプローチで、新たな解決策やアイディアの創出を図ることができます。
また近年では、課題解決能力を測るために新卒採用試験や社員評価制度にも取り入れられています。本コラムでは、デザイン思考の基本的な考え方や、業務改善に適用する際の注意点などを踏まえた、「デザイン思考」を業務改善に適用する方法をご紹介いたします。
「デザイン思考」とは?
「デザイン思考」とは、問題解決のためにデザイナーが用いていた思考プロセスを体系化したものです。
ユーザーに寄り添った視点から課題の本質を見抜くことで、創造的なアイデアや革新的な解決策の創出を目指すことができます。
「デザイン思考」の特徴は、共感と実験を重視する点です。
ユーザーの行動や心理を深く理解し、プロトタイプの作成・検証を繰り返すことで、真に求められる解決策に辿り着きます。
「デザイン思考」が取り入れられた有名な例としては、下記が挙げられます。
・Apple社:iPod
・Airbnb社:サイトの掲載写真やUI
・Uber社:Uber Eatsアプリのナビゲーションの簡素化、リアルタイム配送機能
・オムロンヘルスケア株式会社:電子血圧計
(参考:デザイン思考の事例 | 一般社団法人日本デザイン思考協会
デザイン思考をビジネスで活用した事例8選|クロスデザイナー)
例として挙げた製品を思い浮かべただけでも、「デザイン思考」がユーザーの真に求めるサービスや画期的な製品の開発に効果的な手法であることが分かります。
「デザイン思考」を活用した業務改善の進め方
「デザイン思考」は、製品やサービスの開発だけでなく業務プロセスの改善にも有効です。
たとえば、
・部署間の情報連携不足や、煩雑な事務処理による業務の非効率性
・従業員のモチベーションの低下/離職率の上昇
・顧客満足度やクレーム応対品質の悪さ
といった、多くの組織が抱える課題を解決する糸口になります。
「デザイン思考」を用いた業務改善の具体的な進め方は、以下の5つのステップです。
①共感:対象業務に関わる従業員にインタビューを行い、現状における課題や要望を深く理解する
②問題定義:①で得られた情報を分析し、問題の真因を特定する
③アイデア創出:定義された課題に対して、関係者たちと自由な発想で解決策のアイデアを出し合う
④プロトタイプ作成:アイデアを具体的な形にするため、簡易的なプロトタイプ(試験的な業務フロー)を作成する
⑤テスト:プロトタイプを実装し、効果検証と改善を繰り返す
これらのステップを繰り返すことで、従業員にとってより効率的で働きやすい、そして生産性の高いプロセスを新たに構築できます。
「デザイン思考」を業務改善に活用する際の注意点
「デザイン思考」を導入する上で注意しなければならないのは、「部分最適」に陥りがちな点です。
特定の組織/人物の周辺業務のみの改善では、そのコストに見合った恩恵を組織全体が得られなかったり、かえって他組織にしわ寄せがいってしまったりする可能性があります。
また、従業員にフォーカスし過ぎて、経営層の視点や想いからかけ離れてしまうこともあるため、組織全体の目標との整合性を取ることも大切となります。
上記のように「デザイン思考」を業務改善に取り入れる際には、ユーザー(従業員)の主観を手掛かりにしつつも客観性を保つことが欠かせません。
今回ご紹介した「デザイン思考」をはじめとする効果的なアプローチを活用して業務改善を成功させるためには、中立的な第三者であるコンサルタントを活用することも有効な手段のひとつとなります。ご興味がございましたら、以下よりお気軽に無料相談会のご希望をお寄せください。