DX推進の波に乗り、多くの企業がシステム導入を積極的に進めていますが、自社におけるシステム導入の「スタンス」は明確でしょうか?
また各関係者はそのスタンスに対して同じ認識を持てているでしょうか。
システム導入のスタンスに共通理解を持てていない場合、システム選定の段階で足踏みしたり、導入後も考えの違いからシステムを複雑化させてしまいシステムの活用を阻害したり、といった事態を招きかねません。
ここでいうスタンスには、大きく分けると2つのパターンがあります。
①:業務にシステムを合わせる
②:システムを業務に合わせる
それぞれどのようなメリット・デメリットがあり、これからの時代はどちらがより適切なのでしょうか?
「業務にシステムを合わせる」とは
「業務にシステムを合わせる」とは、業務ファーストな考え方とも言えます。
業務をシステムに合わせるメリットは、システム導入時の混乱や抵抗を最小限に抑えることができるという点です。
既存業務をそのままシステム化するため、比較的スムーズに移行できます。また、慣れたやり方を大きく変えずに済むことで、従業員のストレスや抵抗感の軽減も期待できます。
自社独特の業務プロセスや、複雑な処理フロー/ルールをもつ企業はこのスタンスをとることが多いと思われます。
しかし、業務を変えずにシステム化するためには、その複雑なフローやルールに合わせて開発を行う必要があり、開発コストの増加や開発期間の長期化(=システムが使えるようになるまでに時間がかかる)といった問題が発生します。
また、開発内容が複雑化することでベンダーに依存してしまい、継続的に保守費用が発生したり簡単に仕様変更ができなくなってしまったりと、柔軟性に欠ける可能性も懸念されます。
「システムに業務を合わせる」とは
反対に「システムに業務を合わせる」とは、システムの標準機能に合わせて業務を変えることを指します。
そのメリットは、カスタマイズ範囲を最小限にすることによって開発コストを抑えたり、導入期間を短縮したりできるという点です。
標準システムは常に最新バージョンが提供されるため、最新の技術やセキュリティ対策を享受でき、運用・保守の負担も軽減することが可能です。
またバージョンアップによって法令改正へ迅速に対応できる点も重要です。
その反面、システムの標準機能に合わせるためには既存の業務を見直すことが必要となり、変化に対して従業員が不安や抵抗を感じたり、適応できるまでに時間を要する可能性があります。また、柔軟性に制限があることから、個別のニーズに対応できないことへのストレスも発生するかもしれません。
しかし、「システムに業務を合わせる」とは、システム導入を機に業務のやり方やルールを見直し、自社の成長に向けて最適なやり方へ変化させてゆく良い機会と捉えることもできます。
どちらのスタンスが最適?
現代の、テクノロジーの進化・グローバル化の進展・顧客ニーズの多様化などからも、企業は変化に対応できるスピードと柔軟性の両方が求められています。
「業務にシステムを合わせる」・「システムを業務に合わせる」、どちらのスタンスにもメリット・デメリットがありますが、スピードと柔軟性の双方を実現するためには、高コストで時間のかかるシステム開発を行うのではなく、標準システムを活用し迅速に変化に対応できる体制を構築すること、すなわち「システムを業務に合わせる」が適しているのではないかと考えられます。
とはいえ、業務に合わせるほうが自社には最適なのだ、という考えもあるでしょう。
そのような場合には、今の業務のやり方やルールを完全にシステム化することを目的とせずに、押さえておきたいポイントや優先度を明確にしておくことで開発の複雑化などを防げることができると思われます。
システム選定やシステム導入をする前に、まずは自社のスタンスを明確にしておきましょう。
下記の資料では、業務フローを見直して最適化するステップを解説しています。「システムに業務を合わせる」という際にはお役立ていただける内容ですので、ぜひご覧ください。