無料資料
ダウンロード
0120-958-270
〈受付時間〉 平日9:45~17:30
CONTENT
コンテンツ
HOME > コンテンツ > 何故システム刷新は失敗するのか!製造業におけるシステム刷新のポイント
2025.07.14

何故システム刷新は失敗するのか!製造業におけるシステム刷新のポイント

製造業におけるシステム刷新のポイント

製造業におけるシステム刷新は、単なるITプロジェクトではなく、企業の競争力と将来を左右する経営戦略の重要な柱となりますが、なかなかスムーズに導入・活用できている企業は多くありません。ここでは、製造業においてシステム刷新を試みた結果、残念ながら頓挫してしまう原因を振り返り、これを踏まえた成功のポイントを「経営者が求めていること」と「現場の目線」の両面でまとめました。

製造業のシステム刷新が頓挫する8つの理由

製造業におけるシステム刷新は、多大な投資と労力を要する一大プロジェクトです。しかし残念ながら、途中で頓挫してしまうケースも少なくありません。その主な理由を8個挙げます。

1.目的・目標の不明確さ
「とりあえず最新のシステムを入れたい」「他社もやっているから」といった漠然とした理由でプロジェクトが始まるケースです。何のために刷新するのか、何を達成したいのかが明確でないため、方向性が定まらず、途中で迷走したり、投資対効果が見えなくなったりします。

2.経営層のコミットメント不足
システム刷新は全社的な変革を伴います。経営層がコミットせず、現場任せにしてしまうと、部門間の調整が難航したり、予算や人員の確保が滞ったりして、プロジェクトの推進力が失われます。

3.キーマンの選定ミス
製造業のシステム刷新で失敗したケースをお聞きすると「キーマンにパソコンに詳しいA氏を指名したが、上手く行かなかった」という話が多くあります。つまりシステム刷新のキーマンは、IT分野に詳しいだけのメンバーでは、プロジェクトが上手く回りません。むしろIT分野に詳しくなくても、本業務を理解しており、社長・役員や他部門の責任者とも対等に話ができるメンバーが理想になります。この選定を誤ってしまうと、推進がままならない可能性が高まります。

4.現状業務の把握不足と過度な理想追求
現在の業務フローや課題を十分に理解せず、「新システムで全て解決できるはず」という過度な期待や、非現実的な理想を追求しすぎると、現場のニーズと乖離したシステムが構築されたり、カスタマイズが膨大になりすぎてコストと期間が膨れ上がったりします。

5.現場の巻き込み不足と抵抗
システムは現場で使われるものです。現場の意見を聞かずに導入を進めると、「使いにくい」「なぜ変える必要があるのか」といった反発が生まれ、システムの定着を妨げます。結果として、旧システムと新システムが併用される「二重運用」に陥ることもあります。

6.ベンダー選定の失敗とパートナーシップの欠如
単に価格だけでベンダーを選んだり、自社のビジネスを理解しないベンダーを選んだりすると、プロジェクトは暗礁に乗り上げます。単なる契約関係ではなく、課題を共有し、共に解決していく真のパートナーシップを築けないと、仕様変更やトラブル発生時に協力体制が崩れやすくなります。

7.要件定義の不備とスコープの拡大
プロジェクトの初期段階である要件定義が曖昧だったり、途中で次々と機能追加が発生したりすると、プロジェクトの範囲が際限なく広がり、予算オーバーや納期遅延の大きな原因となります。プロジェクトの初期段階でコンセプト(パッケージに合わせるのか現状業務に合わせるのか)を明確にしていないとカスタマイズが膨大になってします可能性もあります。

8.データ移行の軽視
既存の膨大なデータを新システムに移行する作業は、想像以上に手間と時間がかかります。移行方式(マスターのみ移行かトランザクションも移行するのか)を明確せず、データ形式の不一致、データの整合性、クレンジング作業などを軽視すると、移行段階で大きなトラブルが発生し、プロジェクト全体が遅延したり、データ品質が低下したりします。

経営層はシステム刷新に何を求めるのか

システムの刷新には多くのステークホルダーが関与します。その中でプロジェクトオーナーとなる経営者がシステム刷新に期待する2つの大きなポイントを押さえておくことも大切になります。

1.費用対効果(ROI)の明確化
(1)コスト削減効果を定量化する
①人件費削減:
例えば、手動で行っていたデータ入力作業が自動化され、1人あたり毎日30分の作業が削減された場合、(30分/日 × 20営業日/月 × 12ヶ月/年) × (人件費/時間)で年間削減額を算出。複数の人員や作業で集計。
ポイントは、単純な人員削減だけでなく、削減された時間をより付加価値の高い業務に振り分けることによる効果も考慮することです。

②在庫コスト削減:
例えば、過剰在庫の削減、保管コスト削減、廃棄ロス削減について金額で算出します。

③情報システム関連コスト削減:
例えば、レガシーシステムの置き換えによる保守費用削減、ペーパーレス化による印刷・用紙代のコスト削減がどれくらいか算出します。

(2)売上増加効果を定量化する
①生産性向上による増産・増益:
MES等のシステム導入により、生産ラインの稼働率がX%向上し、追加生産が可能になった場合の売上・利益増加率を定量化します。

②リードタイム短縮による受注増加:
受注から納品までの期間が短縮され、競合との差別化が図られ、新規受注が年間X件増加した場合をシミュレーションします。

製造業のシステム刷新を頓挫させずに成功させる10のポイント

システム刷新がうまく推進できない理由を踏まえ、それを回避し、プロジェクトを成功に導くための10の重要なポイントを以下に示します。その多くはプロジェクト開始前に明確化及びコミュニケーションプランの設計が重要な柱となります。
特にステークホルダーが多く関与するプロジェクトの場合には、第3者として外部のリソースや知見を活用するケースもあります。

1.明確な目的と目標設定(Whyの共有)
刷新の具体的な目的と達成目標を経営層と現場で共有することが重要です。「なぜ刷新するのか」「刷新によって何を解決し、どんな状態を目指すのか」を明確にし、全社で一貫した認識を持つことが、ブレないプロジェクト推進の基盤となります。具体的には、プロジェクトの最初にキックオフミーティングを設定して、その場で目的・目標を共有することをお勧めします。

2.経営層の強力なコミットメントとリーダーシップ
経営層が刷新プロジェクトのオーナーシップを持ち、積極的に関与することが不可欠です。予算・人員の確保、部門間の調整、そして変革メッセージの発信を通じて、プロジェクトを力強く推進する姿勢を示すことが重要です。

3.正しいキーマンの設定
経営層の推進と合わせてプロジェクトのキーマンの選定が重要です。キーマンは、パソコンに詳しいだけの人では無く、経営層及び主要な部門の責任者と対等に話ができるメンバーが理想です。システムの刷新は、結果的には全社の業務改革に繋がることになりますので、業務の標準化を推進できるメンバーということになります。

4.現状業務の徹底的な可視化と課題分析
既存システムの不満点だけでなく、現在の業務フローを詳細に可視化し、非効率な部分、ボトルネック、重複作業などを具体的に、洗い出しましょう。これにより、新システムで本当に解決すべき課題が見え、優先順位を適切に設定できます。

5.現場の積極的な巻き込みとコミュニケーション
要件定義またはフィットギャップの初期段階から、実際にシステムを使う現場の従業員を積極的に巻き込み、意見を吸い上げます。説明会、ワークショップ、アンケートなどを通じて、現場からの声も聞き、不安を解消し、プロジェクトへの当事者意識を高めることが、システムの定着に繋がります。

6.適切なベンダー選定と強固なパートナーシップ構築
単なるシステム開発会社ではなく、製造業特有の業務知識を持ち、長期的な視点で共に課題解決に取り組めるパートナーを選びます。費用だけでなく、実績、技術力、サポート体制、そしてプロジェクトに対する熱意を見極めることが重要です。

7.明確な要件定義とスコープ管理
プロジェクト開始前に、新システムで実現すべき機能を明確に定義し、範囲(スコープ)を厳密に管理します。途中で安易に機能追加(スコープクリープ)を許さず、やむを得ない場合はその影響を検討し、合意形成を行う仕組みが必要です。

8.データ移行計画の綿密な策定と実行
既存データの移行は、システム刷新における最大の難所の一つです。データ形式の統一、クレンジング、移行方法、スケジュールなどを綿密に計画し、テスト移行を繰り返して検証しましょう。データ品質は新システムの成否を左右します。

9.段階的な導入と十分なテスト
一度に全てを刷新するのではなく、部門ごとや機能ごとに段階的に導入を進める「スモールスタート」の検討をお勧めします。本稼働前に徹底的なテストを繰り返し、潜在的な問題を潰し込むことで、トラブル発生リスクを最小限に抑えられます。

10.継続的な教育・サポート
新しいシステム導入は、従業員の働き方に変化をもたらします。システム導入の必要性を丁寧に説明し、十分な操作トレーニングを提供し、導入後も継続的なサポート体制を構築します。現場の従業員が新しいシステムを安心して使いこなし、そのメリットを享受できる環境を整えることが、成功への最後の鍵となります。

製造業におけるシステム刷新は、単なるIT導入ではなく、企業の競争力と将来を左右する重要な経営戦略です。
しかし、多くの企業でスムーズな導入が難しいのが現状です。システム刷新が頓挫する主な原因は、
目的・目標の不明確さ、経営層のコミットメント不足、キーマンの選定ミス、現状業務の把握不足、現場の巻き込み不足などにあります。
ぜひ今回ご紹介しましたプロジェクトを成功するためのポイントや、経営者が求める費用対効果(ROI)の考え方について参考にしていただければ幸いです。
 
 
 

貴社のシステム刷新を「よくある失敗」で終わらせないため、現状課題の整理からサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

無料経営相談はこちらから

無料メルマガ無料メルマガ