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2025.08.28

プロジェクトの成功率を左右する要求・要件定義のポイント

要求定義と要件定義の違いを理解する

 システムの開発プロジェクトにおいて、成功の鍵を握るのが「要求定義」と「要件定義」です。この2つのフェーズは似ているようで、その役割と目的は明確に異なります。

 要求定義とは、「ユーザーやビジネスの視点から、システムに何を求めるか」を明確にするプロセスです。これは、新しいシステムを導入することで、どのような課題を解決し、どのような目的を達成したいのか、という大枠を固める作業です。このフェーズでは、まず現状把握が欠かせません。既存の業務プロセス(AsIs業務フロー)を徹底的に分析し、どこに非効率性やボトルネックがあるのかを明らかにし、あるべき姿(ToBe業務フロー)を描き、そのギャップを埋めるための具体的な課題分析を行います。
この課題をシステムで解決するために、「こういう機能が欲しい」「こういうことが実現したい」という漠然とした要望を洗い出していきます。この段階では、まだ具体的なシステムの機能や仕様は定めません。あくまで、経営層や現場の担当者といったステークホルダーからの「DX戦略」や「DXグランドデザイン」といった経営目標に紐づく、高レベルな要望を整理することが目的です。このプロセスを丁寧に行うことで、プロジェクトの方向性が定まり、後工程での手戻りを防ぐことができます。

 要件定義は、要求定義で洗い出された漠然とした要望を、具体的なシステムの機能や非機能の要件に落とし込むプロセスです。要求定義が「何を実現したいか」であるのに対し、要件定義は「どのように実現するか」を定義します。要件定義は、機能要件と非機能要件の2つに大別されます。
 ・機能要件: システムが提供すべき具体的な機能のことです。例えば、「顧客情報を登録・編集できる」「売上データを集計できる」など、ユーザーが直接操作する部分です。
 ・非機能要件: 性能、セキュリティ、可用性、運用保守性など、システムの品質や信頼性に関わる要件です。例えば、「同時に100人が利用しても遅延しない」「24時間365日稼働する」といったものがこれに該当します。
このフェーズでは、システム開発の専門家とユーザーが密に連携し、要求を技術的な観点から実現可能な仕様に変換していきます。このプロセスを丁寧に行うことで、開発チームは具体的な設計と実装に着手できるようになります。

要求定義とは?「何を実現したいか」を明確にするフェーズ

 要求定義は、プロジェクト全体の成否を左右する非常に重要なフェーズです。この段階で適切な情報を引き出し、整理することが、後の要件定義や開発工程をスムーズに進めるための土台となります。要求定義の第一歩は、現状把握です。現状の業務プロセス(AsIs)を深く理解しないまま、新しいシステム(ToBe)を描こうとすると、見当違いなシステムができあがってしまうリスクがあります。業務フローのヒアリングだけでなく、実際に現場を観察し、無駄な作業や暗黙知となっているルールを洗い出すことが重要です。

 次に、この現状から見えてきた課題を課題分析として整理します。例えば、「手作業によるデータ入力ミスが多い」や「部署間の情報共有が非効率的だ」といった課題を具体的にリストアップします。この課題を解決するために、どのようなシステムが必要なのか、という視点で要求を定義していくことが、本当に価値のあるシステムを生み出すことにつながります。要求定義は、経営層から現場の担当者まで、多くのステークホルダーが関わるプロセスですので、それぞれの立場によって、システムに求めるものは異なります。

 経営層: DX戦略や経営目標の達成を重視します。
 現場担当者: 日々の業務効率化や使いやすさを重視します。

 すべてのステークホルダーの意見を丁寧にヒアリングし、利害関係を調整しながら、共通のゴールを定義することが不可欠です。すべての要求をそのままシステムに盛り込むことは不可能であるため、優先順位をつけ、関係者間でしっかりと合意形成を図る必要があります。この合意文書が、後の要件定義や開発における重要な拠り所となります。

要件定義とは?「どうやって実現するか」を具体化するフェーズ

 要件定義は、要求定義で定義された高レベルな要望を、具体的な開発仕様へと落とし込む作業です。ここでの精度が、開発のスピードや品質を大きく左右します。要求定義で出された要望を、そのまま要件として定義してはいけません。重要なのは、「なぜその機能が必要なのか」という背景を深く掘り下げることです。例えば、「売上データを自動集計してほしい」という要求があったとします。その裏には、「手作業での集計に時間がかかり、リアルタイムな経営判断ができない」という課題があるかもしれません。

 この「なぜ」を理解することで、より本質的な要件を定義できるようになります。もしかすると、集計機能だけでなく、ダッシュボードでの可視化機能や、特定の条件でアラートを出す機能が必要になるかもしれません。表面的な要求に囚われず、その背景にある真のニーズを探ることが、価値の高いシステムにつながります。

 要件定義の成果物は、具体的なシステム仕様を記述した要件定義書となります。このドキュメントは、開発チームにとっての設計図であり、ユーザーと開発者の間の重要な契約書のようなものです。このドキュメントは、誰が見ても誤解が生じないよう、明確かつ具体的に記述する必要があります。曖昧な表現や用語の定義が不十分だと、認識のずれが生じ、手戻りやトラブルの原因となります。特に、非機能要件は数値で明確に定義することが重要です。例えば、「サクサク動く」ではなく、「特定の操作は3秒以内に完了する」のように具体的に記述します。

 最終的に、この要件定義書をステークホルダー全員で確認し、変更がないことを確認した上で合意形成します。一度合意した要件定義書は、安易に変更しない、というルールを設けることで、プロジェクトの安定性を高めることができます。

価値あるシステム構築のための要求・要件定義まとめ

 システム開発の成否を左右する要求定義と要件定義は、プロジェクトの最上流工程として、重要な役割を担います。要求定義では、現状把握と課題分析を徹底し、経営目標に紐づく本質的な要望を洗い出します。そして、要件定義では、その要望を具体的な機能・非機能要件に落とし込みます。これらのプロセスを通じて、ステークホルダー間でしっかりと合意形成を行うことが、手戻りのないスムーズなプロジェクト進行、ひいては本当に価値のあるシステム構築につながるのです。

ITコンサルタントが語る!システムの要求定義・要件定義を成功させるポイント

システム開発を成功させるためには、プロジェクトの入り口である要求定義と要件定義が極めて重要です。このプロセスを疎かにすると、手戻りやコスト増加につながりかねません。本記事では、この重要なフェーズを成功に導くためのポイントを解説します。

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