間接部門におけるKPI設定の意義
バックオフィス部門、管理部門などと呼ばれる定型業務を主とする間接部門は、一般的にKPI等の数値目標を設定するのが難しいと思われやすく、実際に数値目標を設定している企業は少ない傾向にあります。
そのため、間接部門のスタッフは「何を指標とし、どのゴール(最終目標)を目指せばよいか」が分からない状況になりやすく、その状況は業務の品質や生産性、モチベーション等に影響を及ぼしかねません。
KPIとは、Key Performance Indicatorsの略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」です。間接部門のメンバーが会社の業績に貢献するための鍵となる項目をKPIとして設定することで、現場のメンバーは正しい方向を目指して業務を進めることができます。また、KPIは数値指標であるため、客観的な成果の測定が可能となります。
間接部門のKPI設定の際におさえておきたいポイント
KPIを設定するためには業務の現状を可視化し、それぞれの業務をどのように定量化するべきなのかを整理する必要があります。
(参考:業務改善の成功の鍵となる業務可視化のキホンシリーズ①業務棚卸)
まずは業務の流れや他部署との連携など業務全体を俯瞰し、その業務が持つ価値や目的を明確化します。その上で、各プロセスにおける生産性基準を定めることで業務の品質と生産性を両立できるKPIを設定していきます。
生産性の算出方法は下記の通りです。
業務における会社への貢献や価値、必要性をどのような数字で表現することができるのかという視点を持つことで、定量化しにくい間接部門の業務であってもKPIを設定することが可能となります。
【人事部門のKPI例】
人事部門における最終目標:社員定着率(昨年比) 〇%以上
KPI①:営業所訪問・面談件数 〇件以上/年
KPI②:職場内研修の実施 〇回以上/年
KPI③:メンタルヘルスチェック(評価) 〇%以上/年
上記は人事部門において部門目標達成に向けた具体的な業務をKPIとして設定した例です。まず会社の目標(ビジョンやミッション)を意識しながら部門での最終目標を設定します。
その上でKPIを設定していきますが、KPIは業務単位で考えるのではなく、部門目標からブレイクダウンする形で設定することが重要です。これにより会社の目標達成に寄与するKPIを設定することができます。
良いKPIは会社の目標達成に貢献できるかどうか
各個人の「こんなことを頑張りたい」「こんな業務に挑戦したい」という想いも大切ですが、その想いだけでKPIを定めるのではなく、その頑張りや挑戦がどのように会社や部署に貢献できるのかを考え、会社の目標と部署のKPIに連動性を持たせることが重要です。
これによりKPIの設定を行うことが会社にとってもメンバーにとっても正しい方向に努力を促すことにつながっていきます。
また、営業事務などの直接部門の支援業務が主となる部門では、直接部門の目標と連動したKPIを設定することも重要です。直接部門の目標に対して、何を目的としてどのようなサポートを行うのかをKPIで明確にすることで、直接部門の目標達成に向けて並走することができます。
KPIを形式的なものにしないために
部署や個人のKPIを設定することで、現場のメンバーが同じ方向を目指す環境を整えることができます。また、数値指標を設けることでメンバーの頑張りを定量的に可視化することができ公平・公正な評価にも繋がります。
(参考:現場を巻き込む業務改善の進め方)
KPIは設定して終わりではなく、目標管理などを取り入れてその成果を評価することが重要です。KPIにおけるPDCAサイクルをしっかりと回すことで、KPI設定が形式的なものではなく、各メンバーの業務における指針となり、KPIの効果を最大限に発揮することができるのです。
(参考:メンバーの成長を促進させる目標管理)
間接部門の業務を今一度見つめ直し、KPIを設定してみてはいかがでしょうか。下記の動画では間接部門のKPI設定におけるポイントやメンバーが主体的に業務に取り組むための目標管理手法をご紹介しています。ぜひご覧ください。