間接部門は、売上や粗利益を生み出す営業部門や販売部門に比べて、直接的な利益を生み出さない業務体質であることからコストセンターと見られがちです。
しかし近年においては、戦略的な総務、人事、経理というように、間接部門が従来よりも高付加価値な業務にシフトしていくことでコストセンターからプロフィットセンターを目指す傾向が強まりつつあります。
本コラムでは、「プロフィットセンターとは何か」と「当社事例を踏まえた業務コンバート例」についてご紹介します。
プロフィットセンターとは
プロフィットセンターとは、その名の通り「利益を創出する部門」を指します。間接部門においては、直接的に売上をつくることは難しいものの、近年のDX化によるRPAなどの業務自動化や業務改善の実施により生産性を向上させることで、コスト削減による利益確保につなげる活動が可能です。
つまり、間接部門は生産性を向上することで、販管費などのコスト削減により営業利益への貢献が可能な部署と言ってもよいでしょう。
高付加価値な業務を行うためには、既存業務の生産性を上げ、余剰となる工数を生むことが必要になります。しかし、生産性向上の施策を行った後のゴール設定が曖昧な場合、「パーキンソンの法則」にあるように、実際に必要とする業務量以上に工数が肥大化し、元の状態にもどっては本末転倒です。
そのため、生産性の向上を目的とするのではなく、生産性を高めた後にどのような業務を行うか、自部署が果たすべき機能に応じたコアとなる業務にリソースをシフトさせ業務価値の向上を図っていくことが必要となります。
プロフィットセンターに向けた業務コンバート例
当社の場合、既存の間接業務から新しい業務にコンバートさせた一例として、RPA開発の専任化があります。従来まで顧客情報のデータを入力するデータベースを主管とした業務を行っていたメンバーが、自社でRPA導入することを機に、RPA専任担当者としてコンバートを実施しました。
RPAの開発は外注化することも可能でしたが、社内の現場担当者がRPAの開発を担当することで、現場の実情を反映した早期開発が可能となりました。その結果、全社としての生産性向上に貢献する業務へと昇華させ、2020年には約5,000時間の工数削減につなげています。時給を2,000円とした場合で試算すると1,000万円のコスト削減と同義の成果となります。
今回のような会社の収益部分に貢献できる業務のコンバート例の一部として下記のようなものがあります。
∟RPA専任の開発、運用担当者
∟DXツールの導入に伴う運用・定着推進担当者
【案件創出・顧客対応強化】営業プロセスの一部を切り出した業務対応
∟集客や反響応対、追客を行うインサイドセールス要員
∟LTV向上に向けた重要顧客へのフォロー応対専任者
【営業周辺サポート】営業担当が疎かになりがちな重要ルーチン業務の代行
∟新規客と既存客の顧客データの登録・更新
∟付帯商品販売のためのコール業務
【新規事業付加】周辺事業の立ち上げメンバー
∟新規で立ち上げた事業のメンバーとしてアサイン
会社として生産性向上後に実現したい内容や課題に応じて、これまで間接業務で培ってきたスキルとメンバーの個性や長所に応じた業務のコンバート先を検討してみるとよいでしょう。
プロフィットセンターを目指すために
今回ご紹介したようなコンバート先となる業務がない場合であっても、受け身ではなく提案型の業務に移管するために課題ヒアリングや新規プロジェクト立ち上げなど、従来まで「時間がなくてやりたくてもやれなかった」という業務は多いはずです。
また、直接部門の定型業務の一部を担うことで直接部門の生産性に寄与するといった方法もプロフィットセンター化を見据えた業務シフトといえます。
間接部門がプロフィットセンターを目指すためには、自部門のあるべき姿から設定した最終的な目的やゴールを共有することが大切です。まずは、自部署にとって本来行うべき付加価値の高い業務とは何かを見直すことが、プロフィットセンターを見据えた間接部門への第一歩になります。
プロフィットセンターを目指して業務改善を進めるにあたり「現場が動いてくれない」「何から手をつけていいかわからない」「少し改善しているが継続しない」などの理由から、なかなか思うように進まない場合も多いかと思います。
下記の資料では、そのようなお悩みに対しての解決策を含めた業務改善を進めるために気を付けるべきポイントについてご紹介しております。ぜひ、ご覧ください。
間接部門の業務改善を進めるために
気を付けるべき3つのポイント