業務改善に不可欠な現場の力
間接部門の業務改善・生産性向上のサポートを行っている当社では、業務改善のお悩みとして「以前取り組んでいたが、なかなか思うように進まず失敗した」「必要性は感じるけれど何から手を付けたらよいか分からない」などのお声をよくいただきます。
トップが業務改善の開始を号令し、目的やゴールなどをメンバーに共有したとしても、実際に現場のメンバーが具体的な行動を起こさなければなかなか業務改善は進みません。通常業務もある中でメンバー一人一人の改善意識のみに頼っていては、継続的な業務改善活動は難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
効果的かつ計画的な業務改善を行うためには現場メンバーを巻き込んだ業務改善の体制を構築し、組織的に改善活動を進めることが重要です。本コラムでは当社でご支援している企業様の事例を2つご紹介いたします。
【事例①】業務に課題はあるが、なかなか改善に着手できない
こちらの企業様では慢性的に残業が行われており、業務改善による業務量の削減が喫緊の課題として挙げられていました。
そこで、まずは行っている業務を詳細に一覧化し、現状業務の可視化を行いました。そしてECRS(イクルス)などのフレームワークを活用して改善に着手する業務を洗い出しました。
(参考:業務改善に役立つフレームワークECRS(イクルス)とは?)
その後具体的なアクションに移る前に、選定した業務の業務改善の進捗を管理するシートを作成し、改善対象の業務に対して「改善完了目安」や「改善に向けての月単位のアクションプラン」等を計画しました。この計画をトップと現場でグリップすることで、現場のメンバーだけに進捗を委ねない進め方が可能となります。
(参考:【フォーマット付】ガントチャートとは?~業務改善・DXの進捗管理に活用!~)
また、部署全体で業務改善を進めていく仕組みとして進捗や成果を共有する改善報告会を月に1度の頻度で実施しています。発表の場があることで、モチベーションを保ちながら業務改善活動を続けることができ、更にトップや上長からのフィードバックを受けることで、軌道修正や必要なアドバイスを受けることもできます。
この改善報告会には他チームのメンバーも参加することで、事例の共有や必要に応じて連携を取ることも可能です。月に1度、改善報告会の形で部署全体で業務改善について考える機会を持つことで、日頃から改善意識をもって業務を進める組織風土を醸成することにも繋がります。
日々の業務を行う中で、現場のメンバーだからこそ感じる業務の課題などもあるかと思います。課題が分かっていてもなかなか改善を進められないという場合、改善報告会などの場を持つことで部署全体で業務改善を推進し、改善のPDCAサイクルを回す仕組みを作ることが効果的です。
(参考:現場を巻き込む業務改善の進め方)
【事例②】生産性向上のためにどの業務から改善を進めればよいか分からない
別の企業様では事業所ごとに異なるフローや内容で業務が行われており、業務の統一化が課題として挙げられていました。その際にただ統一するのではなく、最も生産性が高く、必要なプロセスが含まれている理想的なフローを構築する必要がありました。
そこで、まず最初に工数管理を導入して日々の業務にかかる時間を測定しました。各業務における工数を測定することで、事業所や人ごとの業務ボリュームや生産性を明確にし、数値をベースにした業務フローの比較が可能となりました。これらの比較から課題のある業務を選定し、業務改善を進めていきました。
理想的な業務フローを検討する際、現状維持バイアスが作用し慣れた業務フローからの変化に抵抗を感じる方も多いですが、数値で可視化することにより、現場メンバーの中で共通認識を持ったうえで課題のある業務が明確になるため、「その課題を解決するためにはどうしたらよいのか」という視点で事業所や人ごとのフローの違いを洗い出し、理想的な業務フローを検討することができました。
また、工数に時間単価(時給単価に時間当たりの諸経費を加えた金額)をかけることで、各業務にかかるコストを明確にし、現状コストと理想コストとの比較から課題のある業務を選定することも可能です。
工数管理をすることで業務改善後の成果を削減時間の数値で表すことができるため、生産性向上に向けてどの業務から改善していくべきか悩む場合は工数管理を導入し、まずは業務の現状を数値で可視化することをおすすめしています。
現場のメンバーだからこそできる「実情に沿った」業務改善を
今回ご紹介した事例はどちらも現場のメンバーが主体となって、改善を進めた事例です。どちらの企業様も共通して現場を巻き込んだ体制を構築するために下記2つのポイントを実践しています。
■改善すべき業務や問題意識の共有
■現状の可視化・数値化
この2点を実施・共有することによる組織的な業務改善体制の構築が重要です。現場のメンバーは日々、苦労をしながらも現場実務を回していることで、数々の有効な情報を手にしています。その現場だからこそ得ることのできる情報から業務改善への着想や仮説を立てることで、より実情に沿った改善を進めることができるのです。
間接部門の業務改善に取り組む際は、現場を巻き込み、より効果的に業務改善を進めるためにも、この2つのポイントを意識し、社内の仕組みや体制を構築してみてはいかがでしょうか。
下記の資料では間接部門で業務改善を進めるにあたり、気を付けるべきポイントやその解決策などを解説しています。業務改善を行うにあたり必読の内容となっておりますのでぜひご覧ください。
間接部門の業務改善を進めるために
気を付けるべき3つのポイント