コロナ禍でリモートワークが広まり、これまでの働き方から大きく変化してきました。しかし、経理や総務などのバックオフィス部門においては、IT化さていない業務の対応のために出社せざるを得ない状況が残り、変化に適応することが難しくありました。
このような背景からバックオフィス業務の実状が明らかとなったため、バックオフィスの業務改善や効率化へ関心が寄せられ、業務の見直しや生産性向上へ着手されている企業が増えています。
(参考:多拠点事業者必見!業務統一化に向けての業務改善の進め方)
具体的な策として、ツール導入や業務自動化の実施、更には社内での業務改善プロジェクトの立ち上げや改善専任部署の設置等、社内体制を整え会社の重点方針として推進されるケースもあります。
しかし、業務改善推進を任された責任者の方々は、
・何から手を付ければよいかわからない
・現場社員の協力を得ることが難しい
・成果を出さなければいけない
と頭を抱えてしまうことが多いようです。
特に、初めてプロジェクトを任された方や、広い範囲の人と連携する業務の責任者経験が少ない方が不安に陥る姿を見てきました。では、推進責任者を任されたら何をすればよいのでしょうか。
推進責任者の役割
業務改善の推進責任者を任されたら、まずは自身の役割を整理しましょう。責任者は、いわゆるゴールに向けて引っ張るプロジェクトマネージャーです。そのため、下記の意識を持つことが大切です。
・プロジェクトを俯瞰的に見ること
・経営層視点と現場視点の両方を持つこと
・関係者とコミュニケーションをとること
・トラブルや変化に対して柔軟に対応すること
プロジェクトのすべてを一人で行うわけではなく、同じくプロジェクトにアサインされたメンバーや協力者、現場社員を巻き込んで進めていくことになるため、上記4点は意識しておきたいポイントです。
これらを意識しながら、ゴール設定やゴールに向けた活動計画を立て、進捗から成果、トラブル対応まで全体の管理を行います。
(参考:成功する業務改善の進め方とは)
推進責任者がはじめにやるべきこと
具体的な施策に取り掛かる前にまず実施することは、主に下記4点です。
①目的・ゴールの明確化
まずは、経営層と改善後のイメージや具体的に期待している成果をすり合わせ決定していきます。ゴールが曖昧なまま進めてしまうと、効果を発揮することが難しくなります。
②実施事項の策定
目的・ゴールが明確になったら、何を実施していくかの具体的な計画を立てます。現状から課題を吸い上げることが多いかと思いますので、ぜひこちらもご参考ください。
(参考:業務改善の優先順位付けや課題発見に利用できるおすすめの定番フレームワーク6選)
③関係者との調整
バックオフィス業務は多くの部署と連携しています。改善の対象となる部署やその周辺部署の関係者やキーマンへの協力要請、意見交換も大事な実施事項です。ここで協力者を固めておくことで進めやすくなります。
④全体への共有
上記①②を社内へ浸透させていくことで、推進スピードやその成果は格段にあがります。当社が事務職種の方へ実施した「事務職における働き方改革・業務改善に対する実態と意識調査」からは、業務改善を加速させるにはツールや制度導入よりも、まずは「会社からの方針を明確にして欲しい」と考えていることがわかりました。
具体的施策は現場の社員に実行してもらうことが多く、その目的やゴールが不明瞭であれば、変化への不安が募り協力を得ることも難しくなります。このことからも方針整理と社員への浸透は重要です。
現場社員の巻き込み方
プロジェクトを進めていく中で、現場社員への情報共有は行っているものの、なかなか協力が得られないという壁にぶつかることもあります。現場社員たちも、業務改善においてただ否定しているわけではなく不安があるのです。
「改革」「効率化」という言葉だけが先行してしまうと、自身の仕事がなくなる恐怖や、これまでやってきたことを否定されるのではないかという警戒心が芽生えてしまいます。「面倒だな時間がかかるな」「もっとこうだったらいいな」と思う業務を雑談ベースでヒアリングするところから始めてみると、自分たちの仕事がやりやすくなるというプラスのイメージを持ってもらえます。
最初は愚痴になってしまうかもしれませんが、それをまずは受け入れ、聞き、そこから課題整理をし、どうするとよくなると思うかを問いかけ、具体的行動も自分たちで考え意見を上げてもらえるようにファシリテーションしながら巻き込んで行けるとゴールへ近づいていくことができます。
下記資料では、バックオフィスが抱えやすい3つの課題とその解決ポイントについてご紹介しております。ぜひ、業務改善にご活用ください。