当たり前の手法となったペーパーレス化
いまや企業がDXや働き方改革を進める中で基本となったペーパーレスの考え方ですが、みなさまの企業ではどれだけ理想とする姿を実現できていますでしょうか?
便利なクラウドサービスや各種ツールなども数多くある中で、ペーパーレス化に向けた活動を自社で実施したことのある方であっても自信をもって「やり切れた」、「完全にペーパーレス化を実現できた」と言い切れる方は多くないのではないかと思います。
ペーパーレス化とは文字通り、電子化などによって紙の使用をなくすことを指します。
環境保全やSDGsの観点、コスト面などさまざまなメリットがあるペーパーレス化ですが、企業におけるペーパーレス化で重要となるのは作業効率・生産性の向上が伴っているかという点です。
(参考:バックオフィスDXを始めるその前に~DX化の陥りやすい落とし穴~)
本コラムでは、ペーパーレス化の推進に際して陥りやすい状態を事例を用いて紹介し、生産性向上の観点において「やり切る」ための重要な進め方、考え方をお伝えいたします。
ペーパーレス化で重要なポイントと失敗例
結論からお伝えすると、ペーパーレス化は全社的な業務の全体像を理解したうえで推進しなければならないということです。
これだけ聞くと「そんなことはわかっています」と思う方も多いかもしれませんが、これをやり切るのは実はとても難しく、失敗しているケースが数多くあります。
実際に当社が業務可視化のお手伝いを実施した企業の事例をご紹介します。
■CASE■
ある企業では全国各地に支社を持ち、その管理下に支店や営業所を複数構えており、本社ではペーパーレス化を含むデジタル化を進めていらっしゃいました。
各支店における業務プロセスの標準化実現のために、業務の可視化を進めていくと、支店には紙ベースでの業務がまだまだ数多く残っていることがわかってきました。
さらには、単に紙ベースの作業が残っているだけではなく、デジタルと紙が並行していることにより業務の負荷が増えてしまっているケースすらあったのです。
この背景には、本社とはデジタル化されたデータでやり取りをしているものの、各営業所には個人PCの配布はなく、FAXを利用した紙での情報授受が行われているといったことや、行政の手続きには紙での申請が必須といったさまざまな事情が隠れていました。
それによりデジタルと紙の板ばさみとなった支店では紙⇔デジタルの変換という新たな業務が生まれてしまい、さらにそれらの作業をするための管理帳票などが各支店独自で作られることで、標準化の妨げとなっていました。
この事例では、本社はペーパーレス化による業務効率化のメリットを享受できている一方で、支店レベルで業務を見ていくと余計な処理が増え、標準化の妨げにもなっていました。
このように、全社的な業務の全体像を把握したうえでペーパーレス化を進めなければ、別の部署にしわ寄せがいってしまい、結果的に全社的な生産性向上にはつなげられていないということに実は陥りやすいのです。
(参考:バックオフィスの業務改善に必要なこととは)
ペーパーレスは手段!目的を明確にして成果につなげるために
全国に複数事業所がある場合、上記の事例のように明らかな乖離が生まれることがありますが、実際には事業所がひとつの一般的な企業であっても部署ごとや対応業務ごとに同様の事態が起こりがちです。
ペーパーレス化にあたっては、部署や所属を横断して対象となりうる業務の全体像をしっかりと把握し、それにより全社的な生産性向上につなげることを目標として取り組む必要があります。
そのうえで背景は様々あれど、できるものは徹底的にペーパーレス化することを基本とし、行政手続きや取引先の都合など、どうしてもペーパーレス化がかなわない場合はそれをどう処理することが最適なのかをセットで考えることが非常に重要なのです。
ペーパーレス化はあくまで生産性向上の手段であることをしっかりと理解し、この業務は…この部署は…この取引先は…と安易に諦めるのではく、ペーパーレス化を機に大きな変革を起こせないかといった視点で取り組むことが全社的な生産性の向上という大きな成果につながります。
下記資料では、営業事務の契約書作成業務をペーパーレス化した事例をご紹介しています。
具体的な進め方や成果などをご覧いただけますので、ぜひご活用ください。