電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入により、今まで後回しにされがちだった間接部門の業務改善やデジタル化、DX推進の必要性が急速に増してきました。
実際に、2022年に中小企業基盤整備機構が公表した「中小企業のDX推進に関する調査」では、DXについて「理解している」「ある程度理解している」と回答した企業にDXの必要性を尋ねたところ「必要だと思う」「ある程度必要だと思う」と回答した割合の合計は8割近くにのぼりました。
しかしその一方で、アンケート対象である1,000社のうち34.1%が「必要だと思うが取り組めていない」、41.1%が「取り組む予定はない」と回答しています。
(出典:中小企業の DX 推進に関する調査|中小企業基盤整備機構)
DXについて必要性を感じていながら取り組めない、もしくは取り組まないという状態に陥ってしまうのはなぜでしょうか?
DXの代表的な手段であるシステム導入について考えてみると、「自社に合ったツールがどれか分からない」というお悩みが考えられます。
本コラムでは、ベンダー視点ではなく、ITコンサルタントの視点から「自社に合ったシステムを導入するためのポイント」についてご紹介いたします。
ポイント①:自社業務・システム活用の現状を把握し、まずは業務整理を行う
「自社に合ったツールがどれか分からない」はシステムを導入する際に一番耳にするお悩みです。
自社に合ったツールを知るためには、まずは自社の現状の業務・システムの活用状況を正確に把握することが必要です。現状を把握できていないまま安易にシステムを導入してしまうと、システム化できない業務が残ってしまったり、システム連携ができず二重入力が発生してしまったりします。
まずは、業務を徹底的に見える化=業務の可視化を行い、現行業務を整理しましょう。業務の可視化とは、「なにを、どのように、どれくらい」の3点をセットで把握する手法です。(参考:バックオフィス部門での可視化に必要な3点セット)
現状の業務・システムの可視化で、業務上の課題を洗い出し、システム導入の方向性検討への材料とします。また、業務可視化により洗い出された不要な作業や無駄な手順は、システム導入の前にその業務・作業自体を削減してしまいましょう。
ポイント②:システム導入の目的・対象業務を明確化
各システムには、様々な機能や特徴があります。自社に合ったシステムを導入するためには、システム導入のそもそもの目的や解消したい業務課題は何なのかを明確にしておく必要があります。(参考:社内DXで叶える従業員幸福度)
ポイント①で整理した自社の業務・システムの現状から、システム導入の目的や対象業務を明確にしましょう。これらを明確にすることで、「システムの必須機能は何か」「どこまでの機能があればいいのか」を整理ができ、機能面の過不足がなくなります。
目的や対象業務を基準に、会計システムとの連携や承認フローのカスタマイズは必要なのかなど、システム導入の優先度やシステムのあるべき姿・方向性を定めていきます。
ポイント③:システムが自社に合っているかを突き詰めて検討する
現状の業務・システムの可視化より洗い出された課題を整理し、システム導入の優先度やシステムのあるべき姿・方向性を検討ができたあとは、仮説段階での導入システムの選定・比較を実施しましょう。(参考:2022年から見た「DXをドライブさせる3つの発想」)
基本的な機能が同じに見えても、システムの成り立ちや機能拡充の歴史により、各社ごとに違いがあります。本当にそのシステムが自社に合っているのか?そのシステムに合わせて業務を行っていけるのか?ポイント①②で整理した情報を基に検討を進める必要があります。
「自社に合ったツールがどれか分からない」というお悩みを解決するためには、自社の現状をしっかりと把握し、どのようにシステムを導入してどういう姿になりたいのか?を明確にすることが重要です。そのうえで、仮説段階でしっかりとあるべき姿とマッチするシステムを選定していきましょう。
下記資料では、DXプロジェクトのステップをご紹介しています。チェックリストも付属しておりますので、ぜひ本コラムと併せてご活用くださいませ。