グループ経営企業でよくある経理課題とは
グループ経営(ホールディングス体制等)はさまざまなメリットをもたらします。
しかし、経理などのコーポレート部門では業務の集約がうまくできておらず、グループ経営によるメリットを享受できていないということも少なくありません。
よくある問題として、以下のようなものが挙げられます。
・各社の経理処理方法やルールがバラバラで、統合による効率化が見られない。
・各社のシステムが異なるため、余計なデータ加工が必要となり、月次決算の遅延が発生する。
・数字管理のブラックボックス化により、相互フォローの体制が取れない。
・経理担当の処理レベルにバラツキがあり、業務品質が均一でない。
単一企業であっても上記のような経理部門の課題はよく見られますが、グループ経営を行う上でこれらの課題を放置してしまうと、影響範囲はとても大きくなってしまいます。
機能集約のメリットとは
各社の経理機能を集約することで、業務課題を解決し、
グループ経営における経理の”あるべき姿”を実現することができます。
機能を集約する際は、まず各社の処理手順や処理ルールを洗い出し、課題整理を行い、現状を可視化します。
そのうえで、全社統一の処理手順や処理ルールを決めることで、ブラックボックス化の解消だけでなく業務の標準化が可能になります。
機能集約を行うことによる具体的なメリットを2つ紹介します。
①処理の負荷軽減
機能集約は、前述したように業務の現状を可視化したうえで行います。
処理手順や処理ルールなどの定性的な面と、業務工数による定量的な面からみた「ムリ・ムダ・ムラ」のある作業を削減し、「どの会社」の「どの社員」でもできる標準化した処理手順や処理ルールにすることで業務品質の担保及び業務負荷の削減につながります。
②経理機能の高度化
処理手順などだけでなく利用システムを統合することで、管理するデータが一元化され、経理におけるデータ分析がしやすくなります。
これにより、高度な分析により全体のビジネス戦略立案や投資判断の基盤情報がより早く正確に確認できるようになります。
経営者からみた機能集約のメリット
機能集約は、業務の効率化や標準化だけでなく会社全体としても大きな効果が見込めます。
①予実管理の品質向上
本部と各社では、数字の認識や予実の考え方が異なることが多く、事実確認に時間を要するということもよくあります。
経理機能を集約することによって、予実管理の感覚をもった方を内製できます。
その結果、予実管理のスピードや品質が高まり、戦略的な意思決定が行うことができ、将来の成長戦略の策定やリスク管理にも大いに役立ちます。
②適正な人員配置
集約を契機に人員配置の見直しや外販への展開なども行えます。
1つの会社に各社経理や事務員所属として移すことで生まれた余剰から組織や人員配置の見直しの機会にもなります。
③プロフィット化
内部向けの経理機能を外部企業にも提供するといった、シェアードサービスとしての展開も可能となります。
集約によって生まれた余剰をもとにサービスの幅を広げるといったことに繋げることができます。
経理機能の集約は、業務の効率化やコスト削減だけではなく、経理業務の迅速化・品質向上、スキルアップや経理担当のキャリアパスの構築にも繋がる施策になります。
(参考:バックオフィスの提供価値を向上させるためには)
経理機能の集約を実現するためには?
経理機能の集約をするためには、まず現状把握が欠かせません。
各社の現状や違いを把握せずに進めてしまうと、逆に経理負荷を高めてしまうこともあります。
効果的に集約していくためにも、まずは各社の違いを整理し、現状把握を行いましょう。
(参考:業務可視化のキホン~業務改善を成功させる鍵~)
実際にホールディングス体制の企業が経理機能を集約していくためのステップは下記のコンテンツからご確認いただけます。
こちらのコンテンツでは、実際にホールディングス体制の企業が経理機能を集約した事例も紹介しています!