刷新プロジェクトの考察から見えてくるが失敗に陥る6つのパターン
老朽化したシステムを刷新することは、単なるITの更新ではなく、企業の将来を左右する経営戦略上の意思決定となります。
その一方で多くのプロジェクトが納期遅延やコスト超過に陥り、上手く進められないケースが少なくありません。
システムはあくまでも経営や業務上の課題を解消するための手段です。システムを導入することが目的化し、導入後の運用定着や効果検証が軽視されるケースも少なくありません。
本コラムでは、システムの刷新を行う際に引きおこる失敗の構造を紐解きながら、経営視点でシステム刷新を成功へ導くためのポイントを整理します。
一般的な観点も含め、失敗陥りがちなパターンについてご紹介します。
- 1.プロジェクト開始後に、現場からの「現状の業務運用にあった必要なカスタマイズ」という追加要求を無秩序に受け入れ続けた結果、当初の計画が破綻しかねなくなる可能性があります。
- 2.現行業務(As-Is)を深く分析せず、システム機能に業務を無理やり合わせようとした結果、現場が非効率になり、最終的に旧来のやり方やエクセル運用に戻ってしまいます。
- 3.計画に対してカスタマイズが嵩み、期間もコストも膨れてしまうことで経営面のデメリットが発生し、経営層の熱意が失われてします。
- 4.プロジェクトメンバーが、自分の担当範囲で発生したリスクや課題を早期に報告せず、稼働直前の共有になってしまい、稼働を断念することになってしまいます。
- 5.システムを「作る」ことに注力し、導入後の「利用定着」「効果測定」に対する計画や予算を確保できないことによって失敗の原因となります。
- 6.部門間の対立によりプロジェクトが停滞するとプロジェクトの失敗する確率が高まります。
刷新プロジェクトで成功率を各段に上げるポイント
システム刷新のプロジェクトにおいて、システムの機能面や技術的な領域よりも、
進め方や自社としてのコンセプトなどの思想が影響することになります。
成功率を各段に高めるためには、まず何をやらないかを含めたスコープの明確化と、刷新コンセプトの定義が欠かせません。
前述の内容から、今度はプロジェクトを成功に導くために押さえておくべきポイントについて触れます。
- 1.スコープと優先順位の明確化。特にやらないことの明確化を明確にすることが重要です。
- 2.システムを刷新する上での刷新コンセプトを決めることが重要です。
例えば、パッケージに合わせる所謂「Fit to Standard」で進めるのか、現状の業務に合わせてカスタマイズを進めるのか等をコンセプトとして定義します。 - 3.業務改革を伴う刷新にするのか、即ちツールや規定まで変更するのか、ルールは変えずにシステムを刷新するのかを明確にする必要があります。
業務改革を伴う刷新にする場合、システム導入の機能に深く係る現場のキーマンが業務の責任者になることが成功率を上げます。 - 4.経営者の巻き込みが必要になります。プロジェクトの目的を「ビジネスKPIへの貢献」に明確に結びつけます。
例えば、営業利益を何%向上させる、リードタイムを何%短縮させる等、具体的であれば経営層を巻き込みやすくなります。
経営層向けの「エグゼクティブ・サマリー」を定期的に作成し、進捗とビジネス上のメリットのみを簡潔に報告する場を設けます。 - 5.ベンダーとのトラブルを予め解消する手を打つことも大切です。要件定義フェーズに掛ける時間を増やし、
すべての要件を「誰が、何を、いつまでに」という形で文書化し、顧客とベンダー双方の責任者による正式な合意を行います。 - 6.旧業務の慣習を引きずったカスタマイズ過多にならないようにする為に「標準機能で代替できないか」という検討を最優先します。
カスタマイズが必要な場合は、将来のバージョンアップ時のコストや保守の複雑性を明確に評価し、カスタマイズ基準を定めます。 - 7.上記のポイントを俯瞰的かつ定期的にチェックするメンバーを設ける必要があります。
これは社内でも外部でも問題ありません。客観的な意見を経営者、プロジェクトのキーマンに早め早めに指摘し改善案を出すことが重要です。
システム刷新を成功させる為には
ここまで述べてきたように、システム刷新においては、プロジェクト開始時の準備段階としてスコープや優先順位、コンセプトを決めることも重要ですが、進行中に進行が遅延しているかだけでなく、重要な課題がでていることや方向性がズレていることを経営者やプロジェクトのキーマンに伝え、具体的な修復案と軌道修正できるメンバーを保持しておくことも重要であり、プロジェクト成功の確率を上げます。
船井総合研究所では、今回ご紹介した刷新プロジェクトのノウハウと経験を活かし、経営と現場の橋渡しをしながら、貴社に最適なプロジェクト刷新をご支援しています。
「基幹システムの刷新を考えているがどう進めたら良いかわからない」
「過去に基幹システムの刷新をこころみたが頓挫してしまった」
このような課題をお持ちの経営者様、DX推進ご担当者様は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。貴社の状況に合わせた具体的な解決策をご提案させていただきます。
システム刷新で失敗しないための進め方について、目的やコンセプト設定や現状課題の整理からサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。