非常時は変革のチャンス
2020年、新型コロナウィルスの感染拡大は世界中の経済、企業活動に大きな影響を与えました。 日本もその例外ではなく経営において大打撃となった企業も少なくありません。
このような非常事態が発生すると多くの企業で業績が停滞し「企業活動をどう継続していくか」といった企業存続のスイッチが入ります。企業を存続させるために「業績回復努力」と「コスト圧縮努力」のふたつの側面で局面を切り抜けようとしますが、事態が長引くと売上やトップラインを上げる努力に加えて、収益貢献の見えにくい間接部門に削減対象としての白羽の矢が向くことになります。その際、単にこの非常事態を乗り切るためだけに目先的なコストカットや業務改善に取り組むのではなく、その先を見据えてより利益貢献のできる形に間接部門をアップデートすることが大切です。
非常時や会社の転換期は間接部門の在り方を見直す、変革のチャンスなのです。
業務改善のその先にあるものとは
間接部門を利益貢献できる形に、と言われても難しく感じるかもしれません。間接部門の業務効率化には過去に取り組まれたことがあるという企業様も少なくないと思いますが、業務効率化によって捻出された時間や人員で「何をしていくか」が重要です。 たとえ間接業務を効率化して生産性が上がっても、単に「仕事に余裕が生まれた」ということで終わってしまえばほとんど意味がありません。
そうならないためには業務改善をしたその先に間接部門の社員にどんな取り組みをしてもらいたいかを考えておく必要があります。
例えば事務処理などの単純消化業務からより付加価値の高い業務にコンバートをしたり、営業の受注効率を高めたり顧客維持活動に寄与する活動に余剰時間を投じてもらえれば、会社全体として収益性を高めることができます。 更にレベルが上がってくれば、間接部門の強みを活かして外販活動をリリースするなど、直接的に売り上げを生み出すことも可能となります。
こうしたゴールをイメージしないまま効率化や生産性向上に踏み込むことは、ともすればリストラを想起させてしまうのでいささか危険です。会社として業務改革の先に何を目指すのか、当該部門の社員にどんな姿になって欲しいのかを明確化し、現場に「前向きなメッセージ」としてその方向性を示すことが大切です。
プロフィットセンター化の進め方
では実際にどのようなステップを踏んで変革を進めていけばよいでしょうか。
間接部門のスタッフをプロフィットセンター化するためには
・業務プロセスやコストの適正化
・評価制度の見直し
の両輪で進める必要があります。
一つ目の業務プロセスやコストの適正化においてまず着手すべきは、業務フローの可視化、アウトプットや工数の定量化が不可欠です。業務フローを作成することである程度の可視化は比較的容易にできます。次に各業務プロセスにどれだけの時間、人員、コストが投入されているかを定量的に測定する必要があります。これを行うことでどのプロセスがボトルネックになっていて、どのプロセスに大量の工数が費やされているかが客観化され、業務改善のプライオリティを付けることが可能となります。
各業務プロセスの工数測定には、それを容易にする工数管理ツールの導入をお薦めします。
二つ目の評価制度の見直しはスタッフの意識改革のためにも重要です。間接部門のスタッフはまじめで勤勉な人が多い一方で、定量的な目標を持てないために達成意欲が上がり切らないという傾向があります。一般的に間接部門の人事制度は定性評価に寄りがちですが、ここに定量的なコミット目標を組み込んでいくことが重要です。
会社としての方向性や期待する役割を明確にして、各業務のアウトプット目標や成果を数量的に目標として掲げ、その達成率などを評価制度として組み込み、頑張りと成果をできるだけ客観的に測定できるようにすることで、モチベーションが徐々に上がっていきます。営業の場合は売上や契約件数などの測定しやすい目標がありますが、間接部門にも必ず測定可能なアウトプットは存在しますので、それを目標として定義して測定し、きちんと評価してあげるのです。
スタッフの収益貢献意欲を高める
一方、ここまで整備を進めたところで内部取引や社内取引である間接業務を通して、新たな収益を生み出すには限界があるのも事実です。段階的に収益貢献に関する指標を評価に組み込んでいくことでその「限界」にスタッフ自身も気付くこととなります。
この気づきは事業意識の醸成、収益性への意識向上などスタッフの収益貢献意欲を高めることにつながります。会社としての方向性をしっかりと示せていればそこに向かって突き進むための原動力となり、自ら儲ける業務や外部取引で売上をあげることに積極的に取り組めるようになっていきます。
業務改善と評価制度見直しによるスタッフの意識改革をセットで進めることで稼げるスタッフを生み出す体質へと転換していくことができるのです。
下記資料では業務改善を進める際に気を付けるポイントとその解決方法について解説しています。業務改善を始めたい方、上手く進んでない方にオススメの内容となっておりますので、ぜひご活用くださいませ。