RPAの概況
2018年頃に迎えた「RPAブーム」は落ち着きをみせましたが、その普及は着実に進んでいます。
開発人材の確保の難しさや費用対効果の生みにくさといった要因により、RPAは中小・中堅企業ではハードルの高いツールとなっていました。
しかし、RPAを含めたローコード・ノーコードツールに対する認知拡大やデジタル投資の機運の高まり、既存ツールの進化や新しいツールの登場などによって、今や「働き方改革やDX推進のための手段」として身近な存在になりました。
(参考:企業におけるIT投資の考え方とは?)
とはいえ、RPAを導入したからといって必ずしも生産性向上を実現できるとは限りません。
誤ったステップや体制で導入・運用をしてしまうと、「お金と時間をかけたのに大した効果が出ない」「むしろ余計な手間やミスが増えただけ」という事態を引き起こすことさえあります。
そのような”悲劇”を回避できるよう、当社が実際にRPAを導入・活用してきた経験やお客様へのご支援などから導き出した5つのポイントをご紹介します。
(参考:RPA導入の課題から導き出す成功へのポイント)
ポイント①:業務可視化
非効率な作業が行われているからと言って、事前準備もなしにいきなり導入に取り掛かるのは本末転倒です。
まずは、RPAの導入を検討している業務についてきちんと把握しておく必要があります。
特に、RPAロボットの開発においては「どのようなインプットに対して、どのような処理をし、どのようなアウトプットをするのか」という情報(業務プロセス)が明らかになっており、かつ整理されていることが前提となります。
(参考:業務可視化のキホン~業務改善を成功させる鍵~)
業務可視化をした結果、課題解決のための最適解がRPAの導入ではないと明らかになる場合や、そもそも作業自体を無くすことができたというケースも少なくありません。
導入対象となる業務を今一度見つめ直しましょう。
(参考:真因を突く「課題分析」とは~業務改善成功の鍵~)
ポイント②:体制構築
RPAロボットの開発には、自社内で完結する「内製化」と外部サービスを利用する「外部委託」の2つの方法があります。
外部委託をすると省リソースで高度なロボットを開発することができ、より効率的にRPA化の推進が行えます。
しかしながら、エラー対応やロボットの改修・拡張のしやすさ、長い目で見たときの費用負担などの観点から内製化をおすすめします。
(参考:社内活用範囲をより拡大するためのRPA内製化のポイント)
内製化する際は、開発の進め方やルール設定、開発者の育成など検討すべき事項が多く、困難な状況に陥りがちです。
開発者選任のポイントは、全体の管理や業務担当者との調整を担う「推進者」と、最適な業務フローを描きながらRPAロボットの開発・稼働を行う「開発・運用担当者」を分けることです。
また、他の業務の片手間でRPAの開発や運用を行うには限界があるため、本格的に社内でRPAの活用を進めたい場合は専任化することも検討すべきです。
ポイント③:開発スキル向上
RPAツールはローコード/ノーコードであることが多く、取り組みやすさはありますが、少なからず開発の知識は必要です。
(参考:ノーコード/ローコード開発とは?~中小企業DXの強い味方~)
外部研修やeラーニング、コミュニティ、書籍などさまざまな知識の身につけ方がありますが、一番は「実践経験」です。
基礎知識と基本操作がある程度習得できたら、実際に開発にとりかかってみましょう。
どんなに簡単なロボットでも、正しく動かせるまでやり遂げることで感覚や自信が身につきます。
さらに回数を重ねることで、開発におけるパターンに気づいたり、行き詰った際の乗り越え方を学んだりすることができます。
たとえ失敗することがあっても、その経験は糧となることでしょう。
(参考:RPA開発スキルの習得方法はスモールスタートスモールサクセス)
ポイント④:成果の共有
実際に開発・稼働まで到達できたら、そこで終わりにせずに成果の共有をすべきです。
RPAロボットを導入した効果を検証し、定期的に組織内で共有しましょう。
開発担当者のモチベーションアップや評価につながることはもちろん、別業務への展開のきっかけとなったり、社員の生産性向上に対する意識醸成の一助となったりもします。
また、定期的に振り返りの機会を設定することで、効果の出ていないロボットを稼働させ続けることを防ぐのも狙いのひとつです。
ポイント⑤:運用保守
継続的にRPAロボットの稼働を行う場合は、以下のような「運用保守」が重要となります。
・稼働の実施対応(定期稼働・依頼時稼働・エラー対応など、全般管理)
・稼働時間の集計、分析・費用対効果の検証(※効果が出ていなければ撤退)
・仕様変更や改修依頼などへの対応
上述のとおり、状況に応じてRPAロボットの稼働を止めることも必要です。
短期間での稼働の場合や、あまりに仕様変更が多く頻繁にロボットを改修しなければならない場合、導入効果が乏しく管理コストを下回ってしまう場合、などが挙げられます。
効果的な活用のためにも、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
今回ご紹介した内容の詳細は、下記資料にて図を添えて解説しております。
RPAの導入や利活用にご興味のある方はぜひご覧ください。