年々RPAの導入を検討する企業が増え始めています。RPAは業務の自動化により、業務によっては人が行う作業よりも劇的な作業効率化を実現するためのツールとして重宝されます。
しかしながら、思い切って導入をしたものの、その後の運用が上手くいかずに導入前の状態に戻ってしまう企業も少なくありません。 既に導入済みの企業、もしくはこれから導入を検討しようと考えているが、失敗したくないという企業のために失敗しないためのポイントをご紹介します。
RPAツールを見極める
RPAは、アメリカやイギリスに本社を置く企業で開発されたものが多いですが、近年では日本企業でも開発が進み、国内で最も利用シェアが高いWinActorを始め、日本語に対応した国産RPAも増えています。
また企業の管理体制によってはデスクトップ型、クラウド型のRPAなど、ツールごとに特長や仕様、金額が異なります。現場社員が利用しやすく無理のない運用をしていくために、自社にとってどのツールが適切か、常にRPA関連の情報を収集することが大切になります。
RPA導入の目的を明確にする
RPA導入は、大きく2つのパターンが考えられます。
・現場からの改善要望によるボトムアップ型
・コスト削減や業務効率化の推進による経営層からのトップダウン型
どちらの場合でも、RPAを導入するからには、そのための方向性を示すことが必要になります。
例えば下記のようなものが考えられるでしょう。
・RPAで削減した時間を付加価値の高い業務にシフトさせる
・不定期の人材の入れ替えに左右されない組織をつくる
・間接業務の人員整理、適正化を図る
・人的ミスの軽減を目指し業務品質の向上を目指す
・生産性向上を通じた残業時間削減による労働時間の適正化
大切なのは、RPAの導入自体を目的とするのではなく、導入によって得られるメリットを通じた課題解決や、RPA活用によって事業の収益にどのように貢献させるかを見定めることです。 そして、導入の目的を明確にすることで現場への動機づけにもつながります。
RPAで自動化する業務の選定
RPAの業務選定をする上では、RPAの得意な業務を理解しておく必要があります。
例えば下記のような業務がそれにあてはまります。
・データのエクスポート&インポート作業
・データ転記、基幹システムへの登録
・必要部署へのメール送信
・基幹システムから情報抽出&Excelに転記
ホワイトカラーの職種であれば自社の基幹システムにあるデータベースを活用した定型の資料を作成する機会も多いものです。RPAの得意領域を理解しつつ、業務工程が単純かつ一定の業務量が発生する業務がないか見極めていくことになります。
またRPAを導入する際は既存の業務フローをそのまま移管する形だけでは不十分です。重複している業務や部署連携する上で考慮すべき点があれば、業務フローの見直しが必要となります。
RPAで自動化すべき業務の見極め、そして既存の業務フローの見直しを踏まえた業務改善がRPA導入のベースとなるため、失敗しないために必ず通るべきステップなのです。
RPA実行体制の構築に必要な役割とは
RPAの運用を外部企業に委託する企業も多いですが、中長期的に見た時には、自社での内製化がおすすめです。実際の現場担当者であれば、多角的に実務を理解しているため、自社に適したRPAシナリオの設計などが可能です。またRPA設計のノウハウを流出させないこともメリットの1つに挙げられます。
社内の体制を検討する際には、主に2つの役割を設定する必要があります。
・RPA推進責任者
会社としての導入目的を理解し、組織として運用をしていくための各方面への調整やツール導入に伴う外部との調整が多く発生します。RPA導入の方向性を理解した上で、その後の運用を見据えた環境をつくり、導入の費用対効果の検証など組織として導入を推進する重要な役割を担います。
・RPA担当者
実際にRPA自体を操作する担当者です。RPAは既存の業務フローをそのまま移管するのではなく、RPAの可動領域を考慮した業務の選定から、ムリ、ムダのないシナリオ設計が必要です。常日頃から業務を客観的に把握し、業務改善に対して前向きに捉えられるメンバーの選出がおすすめです。
以上、今回はRPA導入にあたって失敗しないためのポイントをご紹介させていただきました。
自社の方針にそった適材適所での運用と実行体制が構築できているか今一度見直してみてはいかがでしょうか。
RPA導入の全体像と失敗しないためのポイントをわかりやすく、より詳しくまとめた資料です。是非併せてご確認下さい。